「波打ち際の旅」「ただ大切に」「夏の風物詩」 

poetry
「波打ち際の旅」

波打ち際を歩き
寄せる波をよけ
時々くるりと振り返る

一歩づつ進めた足は
直ぐに後ろとなり
ついた足跡は波模様

潮風を受けながら
背中を押されているの
風に向かっているの

なびく髪は風に任せて
向かう体を風に預けて
楽に歩ける方に進んだのなら
どこへ行くの

サケのように回遊し
流れに逆らい回帰して
そんな生態のごとくに進んだのなら
どこに着くの
「ただ大切に」

移りゆくものを
移りゆくままに

消えゆくものも又
消えゆくままに

時に想ったことは
時が過ぎ去っても

ただ記憶に
ただ大切に
「夏の風物詩」

熱く照りつける日差しのシャワーと
冷たく心地よい水のシャワー

どちらも浴びたら

囁きあう星空のシャワーと
夏の香りを届ける夜風のシャワー

どちらも浴びて

つんざくほどの蝉の合唱と
ささやかにリバーブする鈴虫の輪唱

どちらも聴いたら

カラフルな花火の火薬と
シンプルに昇るお線香の煙

どちらもまとって

背景

「波打際の旅」

この詩は、波打ち際を歩いている時を想像し、少しドラマ仕立てに気取って連想しながらできたものです。風向きや流れについて書いていたところから、鮭が川を遡上する様子が結びつき登場しました。調べたら、鮭は生まれた川で生命の誕生と終わりを迎え、その体が分解されて次世代の生命を育む土壌として還るという過程がありました。

「ただ大切に」

以前メモした想いを詩的にしたものです。四季は巡り、その時見た景色が紅葉し移ろうことがあっても、過ごした豊かな時間を大切にしたい。その気持ちはありながらも循環であることも同時に感じながら書いたものです。

「夏の風物詩」

この詩は、自然や季節のさまざまな感覚や体験を織り交ぜて、個人的に感じた、夏の風景を思い浮かべました。

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